権正 俊幸先生
2009年7月29日
暑い日が続いています。何とも寝苦しい日々が続きますね。そこで今回は睡眠について書いてみましょう。
みなさんは何時間くらい眠れると、健康的な生活を送っているなあ、と思えますか?多くの人は「8時間」と答えるでしょうが、そうでもなさそうです。1980年代にアメリカで100万人以上を対象に行われた、睡眠時間と寿命の関係の調査では、予想外の結果が出ました。1日に6.5~7.5時間の睡眠をとっている人が最も死亡率が低く、それ以上およびそれ以下の時間、眠っている人は寿命が短くなる傾向にありました。特に長く眠っているほうが問題で、7.5~8.5時間以上の睡眠時間をとっている人は、6.5~7.5時間睡眠の人よりも死亡率が20%もアップしました。では、全く眠らないでいると、どうなるのでしょうか!?動物実験では、眠らない時間が長くなると、全ての動物が死んでしまいました。人間では命の危険があるため、そこまでの実験はできませんが、不眠の記録は残っています。睡眠の専門家が立ち会って行われた不眠マラソンでの最長記録は、264時間12分、つまり約11日間です。これは、1964年にアメリカの高校生・ランディー・ガートナーさんが打ち立てました。不眠マラソン中は幻覚や幻聴などが現れたようですが、一晩グッスリ眠った後は、いつも通りの学校生活を送ったそうです。
世の中には、睡眠時間がとても短い人達がいます。有名人では、ナポレオンやエジソンなどが知られています。「わが辞書に、不可能の文字はない」と言ったナポレオンは、睡眠をも超越したのでしょうか!?実際には、夜の睡眠時間は3~4時間程度でしたが、馬に乗っているときや会議中によく、居眠りをしていたようです。また、発明王のトーマス・エジソンは、「4時間以上眠ると、かえって気分が悪くなる」とまで言っていました。しかし彼も、2~3時間の昼寝を、1日2回とっていたようです。ですから1日のトータルの睡眠時間で見ると、普通の人並に眠っていたことになります。では、普通の人はどのくらいまで、睡眠時間を短くすることができるのでしょうか!?1日3時間の超短時間睡眠を目指して、1992年に行われた実験があります。3時間といっても1度にまとめて眠るのではなく、30分の短い睡眠を1日に6回とるものです。実験は予定通り進み、10日目以降は1日3時間睡眠が定着しました。そして驚いたのは、実験中に悪くなると思われていた作業の効率が、実験前よりも良くなったことです!!実験終了後、被検者はグッスリと眠り、その後は実験以前の睡眠時間に戻りました。この実験から分かったことは、分割された短時間睡眠は、通常の睡眠よりも効率的ですが、自発的に続けたくなるようなスケジュールではないということです。大切な仕事や受験など、1~2ヶ月間限定なら、3時間睡眠も上手くいく可能性がありそうですね。
最後に、長い夏休みです。こんなときこそぜひ本を読んでください。理科の勉強法でも書きましたが、理科の勉強にとって、いろいろなことに興味を持つことは大変重要です。そこで、試しにこんな本を読んではいかがでしょう?ナレッジエンタ読本「科学バカ人生」著者「柳田理科雄」!!この本の著者は1996年のベストセラー「空想科学読本」を執筆した人で、身近にあることをすべて科学的に考えて解説してくれる、ある意味ばかばかしい本ですが、とても楽しく読めると思います。本の中身といえば、「ウルトラマンがゴルフをしたらどうなるか?」「聖徳太子はたぶん、キミのご先祖である」「恐るべし、ハイジの巨大ブランコ体験」など興味をそそられませんか?ぜひ読んでみてくださいね(ご両親の方もぜひご一緒に読んでみてください。おもしろいですよ)。