「ルイス・バラガンの話」 早川 千信先生
2007年10月12日
数年前にその作品の写真集を見て以来、惚れ込んでしまった建築家、私のメキシコ旅行を決定させた人、「ルイス・バラガン」。これがメキシコに来た本当の理由だ。
彼の作る作品は個人の住宅がほとんどでメキシコにしかない。その外観は一見何の変哲もなくシンプルで、静かで、自然を感じる空間。それがルイス・バラガンの作品だ。彼の作品はピンク、黄色、ブルーなどメキシコらしいカラフルな色が使われる。一見、派手と思われる色が使われているが、その空間は「静」なのだ。それこそバラガンが私をここまで呼び寄せた魅力だ。ただのシンプルな家のように見えて実は隅々まで計算しつくされている。窓から差す太陽光の角度によって十字架が浮かび上がったり、まぶしすぎる色の壁も太陽の光が入ることで優しくなる。まるで太陽に表情があるように感じる。また、彼の作品は水もよく取り入れている。水に反射してゆれる光は色と奏でる音楽のようでとても幻想的だ。
そしてなんといっても自邸の屋上は本当に感動した。至ってシンプル。ただ周りを高い壁で囲ってあるだけなのだ!周りは何も見えなくただ空がずっと広がっている。とてもカラフルでメキシコの強い太陽が欠かせないのが彼の作品だが、自然との調和を図り、自然を静かに感じさせる彼の作品は歴史的な日本の庭園などに通じるものがあるように思う。だからきっと好きなんだと思う。とにかく語り出したらきりがない・・・!!
彼は孤独を好んだそうです。彼の作品(自邸)の中で、その静寂の中で、孤独でいたらきっとものすごい自然の存在感があるのだと思う。彼の作品を体感して、彼は建築家というよりむしろ、哲学家のような気がした。
【クイズ】
バラガンが唯一使わなかった色は何色でしょう。
ヒント:バラガンが建築の中で取り入れているモノ
⇒色、光、水、○。(答えは次号)