先生からのメッセージ

「ボッティチェリ」 松井 絵美 先生

2007年11月17日

ギリシア神話を知っていますか。紀元前9世紀頃、ギリシアの詩人によって作られた物語です。全知全能の神といわれるゼウスを中心に、神々と人間が繰り広げる劇的なストーリーが特徴的です。ヒヤシンス(花)、ナルシスト、オリンピックなどは、このギリシア神話が起源となっています。また、英雄たちの冒険、ヘラクレス、トロイア戦争、迷宮ラビュリントスなどにも馴染みがあるでしょう。 このギリシア神話を美術に定着させたのが、優美な作風で知られるボッティチェリでした。有名な作品は、「ヴィーナスの誕生」や「プリマヴェーラ」ではないでしょうか。 彼は、当時の他の画家とは対照的に明暗法に背を向け、正確なデッサンに基づく“線”での描写を追求しました。そのため、彼の描く人体像は優美で、人間的な強い感情はありません。また、遠近法も使わずに非常に平面的でした。ちょうど日本の漫画の描き方に似ていますね。何か親しみが感じられるのは、そのせいかも知れません。 この時代のイタリア・フィレンツェでは、贅沢で装飾的な様式が流行していたので、彼の優美な作品がもてはやされたのでしょう。

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