大好物シリーズ 第3弾! 松井 絵美 先生
2007年12月15日
古代エジプトの美術
時をさかのぼって紀元前2800年、古代エジプトの美術を見てみましょう。エジプトというとピラミッド、ミイラ、ツタンカーメン、ヒエログリフなどを思い浮かべるかも知れません。美術はどうでしょう?下のような人物像をみなさんはどこかで目にしたことがありますか。よくみると変ですよね。横顔なのに目は正面を向き、上半身は正面なのに下半身は横向きにねじれています。なぜでしょうか?それには2つの理由がありました。
まず、エジプト人は人物の特徴をよくとらえることが一番重要であると考えていたのです。だれが見ても分かるように、顔は横向きが一番分かりやすい、体は横、手のひらを広げ、足は横向きで両足の親指が正面に来ています。
また、制作の目的にも理由がありました。このような人物像はしばしば、死者を葬るために描かれました。例えば、ファラオ(エジプトの王)が亡くなると、肉体を維持するためにミイラにします。エジプト人は、死んで肉体から離れた魂は、その肉体が滅びない限り永遠に生き続けると考えていたのです。だから召使いや家具、衣服、食料などの財産も一緒に葬られました。さらに、それらの墳墓や副葬品にこういった人物像を描いて、死んだ人物の世話が十分にできるようにと手足がはっきりと描かれたのです。