先生からのメッセージ

北京でいただいた教育相談4

2012年2月16日

4月から中学校の教科書がかわるそうですが、どんなことに気をつけていけばよいでしょうか。

 

2011年4月から公立の小学校で使用されている教科書が改定になり、内容がとても難しくなりました。今年2012年はいよいよ中学校の教科書改訂となります。 教科書の改訂に伴い、学習カリキュラムである「指導要領」も新しいものに変更になります。「脱ゆとり教育」といわれる今回の改訂では、具体的にどのような点が変更になるのか? 以下にご説明いたします。

 

授業時間数が大幅増加!
新しい指導要領では、まず、昨年までと比べ授業時間数が大きく変更になっています。主要5教科の授業時間数はのきなみ増加しており、3年間で英語+105時間・数学+70時間・国語+35時間・理科+90時間・社会+55時間となります。「選択学習」や「総合学習」の時間を大幅に減らし、将来の高校受験・大学受験に直結する科目の授業時間数を増やしているのが特徴です。

 

教科書が、ぶ厚くなる!
授業時間数の増加はすなわち、学習量の増加を意味します。(4年に1回改定となる)教科書のページ数がどれくらい増加するのか、2006年の現行版・2002年の「ゆとり版」と比較してみます。
<メイン教科書の平均>
 

2002年比(ゆとり版)

2006年比(現行版)

英 語

136.6% 126.4%

数 学

141.1% 132.6%

国 語

111.6% 118.5%

理 科

173.7% 139.9%

社 会

122.0% 118.0%
理系科目(数学・理科)では、現行の教科書の1.3倍から1.4倍の厚さになる計算です。理科は2002年版に比べたら2倍近い厚さになるということです!

 

どんな内容を勉強するの?
英語 学習する単語の量が増え文法指導重視のスタイルに変化していきます。これまで高校範囲だった「関係代名詞what」「関係副詞」「現在完了進行形」などの単元もカリキュラムに組み込まれました。 ★小学校で英語が始まる影響もあり、今後は中学英語がどんどん高度なものになっていくのは避けられないでしょう。 数学 2002年の「ゆとり教育」で削除された単元が復活もしくは新規追加されました。その数なんと14単元にのぼります(中1で7単元、中2で1単元、中3で6単元)。 また、例題・類題・練習問題が大きく増えるほか、教科書の巻末には発展問題も多く掲載されるようです。 ★現行でも苦手意識を持つ人が多い理系科目。新指導要領ではさらに差が顕著になることが予想できます。毎日の復習が今まで以上に重要な意味を持つようになるのは言うまでもありません。 国語 単純に掲載される作品数が増加するほか、常用漢字表に196字が追加になります。また全体的に古典の扱いが増えるようです。 ★増加時間数こそ5教科中いちばん少ないですが、国語はすべての学習の基本。漢字・語句・文法の知識分野の精度を高め、読解テクニックを習得した人がよい結果を得られるようになるでしょう。 理科 数学同様、「ゆとり」で削除された34単元が復活します。大増量になる教科書は、学年別のものに変更されます。すべての内容を学校で教えるには、相当速いペースで学習を進めていくであろうことが予想されます。 ★現行の教科書に34単元もの内容が加わる(中1で8項目、中2で11項目、中3で15項目!)と、間違いなく負担は大きくなります。増ページの大半は「実験・考察」となると考えられます。日々の復習量はメイン教科と同じくらい確保しておかなければ、定期試験でよい点数を取るのは難しくなるでしょう。 社会 地理において、現行の教科書では、日本地理では「2~3の地域を学ぶ」、世界地理では「2~3の国について学ぶ」でした。これが、日本地理では「全国」、世界地理では「全世界の州」となります。 歴史においても世界史の扱いが大量に増えます。理科・社会は定期試験では大きく差が出る科目となるでしょう。 ★社会は「暗記科目」とよく言われますが、新教科書では、覚える量は現行の十倍以上にもなるはずです。理科同様、ふだんからの暗記作業の積み重ねが重要になってきます。

 

受験への影響は?
中学校で学習する内容が増えるということは、出題範囲が広くなるということです。そうすると、入試問題は難化することが確実に言えます。 一例として、神奈川県の公立高校入試制度が変更になるというニュースが入ってきました。非常に多くの変更点がありますが、「独自入試の廃止」という驚くべき改訂がありました。 独自入試は、横浜翠嵐・湘南・柏陽・平塚江南・小田原など旧学区のトップ校が「全学校の統一問題では易しすぎる」として主に英数国の入試を自校作成していたものです。 ということは、「今度の入試の統一問題は易しくありませんよ」ということが予想できます。入試問題はふつう公立のものより私立のものの方が圧倒的に難しくなっていますから、新中3以下のみなさんは、気を引き締めて取りかからなければなりません。 確実におさえておくべき基礎的な内容も量が増える上に、応用・発展的な内容をどれだけ身につけられるかが勝負のカギをにぎるでしょう。行きたい学校に合格・進学するためには、早いうちから計画的に無駄なく学習していく環境が必要になりそうです。

ページの先頭へ戻る