先生からのメッセージ

北京でいただいた教育相談6

2012年7月10日

帰国子女枠入試の選抜方法について教えてください。【高校入試編】

 

国内の国公立高校の一般入試科目は、国語・数学・英語・社会・理科の5教科です。 帰国生入試では、5教科を課している高校は「帰国生に対して、特別な受け入れ枠や受け入れ体制を持つ学校」に含まれる国立大学附属のうち2校と、少数の県立高校に限られます。国公立・私立の大半の帰国生受け入れ高校では、国語・数学・英語の3教科の学科試験や面接によって選考されます。中には、国語・英語の2教科と面接、英語の1教科と面接、作文と面接、面接だけといった選考方法をとる高校もあります。 通常は入学試験(筆記試験)の総合点で合否が決定されることが多いですが、帰国生入試においては、その特徴を考慮して、各学校で様々な観点から選考が行われています。

 

以下、具体的なパターンを紹介しておきます。

 

1 出身学校の特徴を考慮する主な高校 現地校・インター校出身者は国内中学校と異なる言語・制度やカリキュラムで教育を受けているため、現地校・インター校の学校成績を重視し、「面接」「作文・面接」や「英語・面接」だけで選考します。一方、日本人学校出身者は3教科の入試で選考します。「国語」に「作文」などが加わり、一般入試とは別問題を課す別枠の募集・選抜方法を採用しています。現地の教育制度やカリキュラムで学習している生徒にとっては、現地校の学習に専念できるという点で、受験しやすくなっています。そのために応募が集中して、入試の実質倍率や現地校・インター校の学校成績の基準も高くなり、一概に有利であるとは言い切れません。

 

2 英語力を重視する主な高校 このタイプの学校は、①出願条件に英語の資格(英検・TOEFL・TOEICなど)があり、書類選考時に学校成績の他に前述の英語の資格などを考慮する、②学科試験としては「英語」のみを課す、③「国語・数学」は一般入試と同一の問題で、「英語」のみ帰国生の問題を課す、④3教科の各得点の配点が「英語」のみ2倍など選考審査段階で配慮しているなど、英語力を最重視しています。そのため、英語の入試問題の難度が非常に高いものになっていますので、現地校・インター校に通っている生徒でもしっかりした英語の学習(文章読解力・文法力)が必要になってきます。

 

3 国内一般生と同等の学力を要求する主な高校 帰国生も国内一般生も同一日・同一内容の入試を実施します。国内一般入試で「難関校」と呼ばれる高校は全てこのタイプに含まれます。選考審査段階で、帰国生に対しては選考基準がやや緩くなっているようですが、現地校・インター校出身者であっても国内一般生と同程度の入試学力が要求されます。なお、実質競争率で帰国枠入試が一般入試よりも高くなる学校もありますが、概ね帰国枠入試の方が倍率は低くなっています。

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